理事長挨拶

理事長 堀 裕一(東邦大学)

  この度、日本コンタクトレンズ学会の理事長を拝命することになりました。日本コンタクトレンズ学会は1958年に発足し、佐藤 勉先生(順天堂大学)が初代理事長としてご就任されて以来、60年以上の歴史があります。現在、会員数は1,000人を超え、眼科医だけでなく、コンタクトレンズに関わる多くの方に学会員となっていただいております。これからも学会の発展に尽くしていきたいと存じます。
 コンタクトレンズはわが国で1,500万人以上の国民が装用しております。多くの方は安全に快適にコンタクトレンズを使っておられますが、CLD(Contact Lens Discomfort)といって、コンタクトレンズ装用で生じる不快感のために長時間の装用ができない方や、装用をあきらめる方も数多く存在します。また、コンタクトレンズの誤った装用による感染症(コンタクトレンズ関連角膜感染症)により、視力低下の後遺症が残ってしまう患者さんもまだ無くなりません。コンタクトレンズ学会は、学会活動だけでなく、ガイドラインの作成や様々な啓発活動を通じて、国民に安全で適切なコンタクトレンズ装用を普及すべく尽力したいと考えます。
 また、現在、コンタクトレンズは近視や遠視を矯正するだけでなく、乱視(トーリックレンズ)や老視(多焦点レンズ)に対する矯正も可能となっております。さらには特殊コンタクトレンズとして、円錐角膜などの高度角膜乱視に対するコンタクトレンズや、就寝時装用で近視を矯正するオルソケラトロジーレンズ、コンタクトレンズ型の持続型眼圧測定機器などが市場に出ており、新しいコンタクトレンズの開発が世界中で行われております。コンタクトレンズ学会では、このような新しい領域におけるコンタクトレンズの研究も積極的に推進していきたいと存じます。
 コンタクトレンズがさらに進化・発展し、国民の皆様に素晴らしいコンタクトレンズ診療を届けることができるように精進していく所存です。また、学会として、学術面での更なる発展とともに、国際的な研究者同士の交流を盛んにし、日本のコンタクトレンズ研究の成果を世界に発信できるように努力したいと考えます。学会員の皆様、コンタクトレンズ関係者の皆様、国民の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。